烏有に帰す

中古美術蒐集家&小料理研究家の雑事記

贋作考その二

リトグラフやシルクスクリーンなど原画の複製としての版画をこき下ろしている一方で、肉筆による贋作、即ち模写自体には寛容でありたいと思っている。過去多くの巨匠の名画がその後の巨匠たちによって模写されてきた。問題なのは作者をサインや落款で偽り高…

贋作考

少し前の話だけれども現代日本画の有名作家のリトグラフの贋作が大量に出回っていて問題になっているそうな。大阪の画商が版画の工房に作らせて百貨店へ安く卸したもので、売った百貨店は気の毒な話である。 しかし、そもそもリトグラフなどの版画に贋作とい…

「珍品堂主人」読了

井伏鱒二を読むのは「へんろう宿」以来であろうか。読むのが遅い私でも二日で読み切ってしまった。ストーリーのテンポが良くて明朗だからであろう。 珍品堂が魯山人ベースの創作かと思って読み進めていたのだが実際は秦秀雄という数寄者がモデルで、蘭々女が…

シンワアートがオープンになっていた

これがwith coronaの効能なのかどうか定かではないけれど、多分そうなのであろう。昨年の何時からかは分からないけれど、美術品オークションハウスの国内最大手シンワアートがウェッブでオークションを一般公開するようになった。以前は会員以外にはクローズ…

画集とヴィンテージワイン

先日某フリマサイトで画集とヴィンテージワインを同一出品者から買って到着を待っている。このサイトの楽しい所は対面のフリーマーケットさながら出品者と交渉して手早く売買が成り立つことだ。他のオークションサイトにはないスピード感と融通性がある。大…

掘り出し物は無し

私のような小コレクターでも定期にカタログを郵送して貰える画廊が二軒ある。どちらも日本画の取り扱いでは五指に落ちない京都の老舗で、三月は双方から同時期にカタログを送って来るのが早春の楽しみの一つとなっている。 本年三月はどちらも触手が動くもの…

色紙絵の勧め

昨年の暮れに毎年ノーベル文学賞候補に名前の挙がる小説家のラジオ番組で5%という話を聴いた。文学にせよ音楽にせよ深く鑑賞しようとする層は人口の凡そ5%程度なのだそうだ。 絵画についてはどうであろう。絵画鑑賞は小説や音楽ほど一般に馴染のあるもの…

寺島紫明の額を買う

山平義正の軸と時系列が前後するのだけれども、寺島紫明の額を手に入れた。日本画の取り扱いなら五指に落ちない京都の画廊からの購入で、その割に非常にお安かった。良い買い物だったと思う。 安いのには理由がある。寺島紫明は美人画の大家だけれども、その…

山平義正の軸を買う

先日山平義正の軸を手に入れた。バジット上限の半値ほどで良い買い物だったと思う。 山平義正は未だ描き続けているのか定かではないが、存命中の所謂美人画で有名な日本画家である。昭和に活躍した大家寺島紫明の一番弟子でその所定鑑定人と言った方が通りが…

世にSNSの数多蔓延る中で、敢えて今ブログを付けてみようと思う。少し丁寧に文章を書いてみたいという欲求が絶えず有って、帳面に日記を付けても良いのだけれど、なるべく続け易い方が良いだろうと思いブログを付けることにする。 かれこれ幾つ目のブログに…